結論:基本は顔合わせが先、事情があれば入籍が先でもよい

一般的な流れとして分かりやすいのは、ふたりで結婚の意思を確認し、それぞれの親へ挨拶し、両家顔合わせを行ってから婚姻届を提出する順番です。両家が一度会ったうえで、入籍日、結婚式、新生活について共有できるため、親が「知らないまま話が進んだ」と感じにくくなります。

一方、顔合わせは法律で定められた婚姻の成立要件ではありません。法務省は、婚姻届について民法第739条・戸籍法第74条を根拠に、届書を本籍地または所在地の市区町村へ届け出る手続きと案内しています。顔合わせや結婚式の実施は、婚姻届の受理要件として挙げられていません。

「入籍」という言葉について

この記事では日常的な表現として「入籍」を使いますが、手続きは婚姻届の提出です。日本方式の婚姻は、必要な要件を満たした届出が受理されることで成立します。顔合わせは両家を紹介し、関係を築くための慣習上の機会です。

まずは三つの状況で判断する

今の状況 進め方 先に確認すること
両家が日程を合わせられる 親への挨拶、顔合わせ、入籍の順にする 結納の希望、参加者、費用、入籍日の相談要否
入籍日は決まっているが顔合わせが間に合わない 両家へ理由と日程案を伝え、合意できれば入籍を先にする 各親が順番を重視するか、オンライン紹介が必要か
すでに入籍している 事実を隠さず説明し、両家の親睦を目的に会食を開く 説明不足へのお詫び、今後共有したい予定
家族と会うことに安全上の不安がある 顔合わせを前提にせず、ふたりの安全と意思を優先する 連絡方法、同席者、情報を伝える範囲、専門窓口への相談

「世間ではどちらが普通か」だけで決めると、ふたりや家族の事情が置き去りになります。入籍希望日を動かせるか、両家が順番をどの程度重視するか、会えない事情が一時的か長期的かを分けて考えましょう。

顔合わせを先にするメリット

顔合わせを先にする最大の利点は、婚姻届を出す前に両家が互いを知り、今後の予定を同じ情報で共有できることです。親の許可を得るためだけの場にする必要はありませんが、家族関係を今後も続けたい場合は、節目を飛ばされたと感じる人がいないか配慮できます。

  • 入籍日や新居など、家族へ関係する予定を一度に共有できる
  • 証人を親に依頼する場合、その場でお願いしやすい
  • 結納を希望する家があるか、入籍前に確認できる
  • 結婚式や家族行事で初対面になるのを避けられる
  • 呼び方、連絡先、健康面の配慮など今後の関係の土台を作れる

ただし、顔合わせの目的はふたりの決定を親同士で再審査することではありません。ふたりが主催するなら「両家を紹介し、安心してもらう場」と事前に伝えておくと、結婚条件を一方的に交渉する場になりにくくなります。

入籍を先にすることが現実的なケース

次のような事情では、全員がそろうまで婚姻届を延期するより、説明したうえで入籍を先にするほうが生活上の負担を減らせる場合があります。どのケースでも「会えないから何も言わない」のではなく、可能な範囲で事前報告を行います。

事情 入籍を先にする理由 補う方法
両家が遠方・海外にいる 全員が集まれる日が数か月以上先になる 先にビデオ通話で紹介し、対面会食の日程候補を決める
療養・介護・仕事の事情がある 日程を固定すると本人や家族の負担が大きい 短時間・少人数・オンラインなど負担の少ない形を選ぶ
動かしたくない入籍日がある 記念日や生活手続きの都合を優先したい なぜその日なのか、顔合わせ予定と一緒に早めに伝える
転居・転職・在留手続きが続く 住居や公的手続きの順番を整理したい 必要書類と期限を提出先自治体や関係機関へ確認する
家族構成や関係に複雑な事情がある 全員を集めることが精神的・身体的に安全とは限らない 別日での紹介、信頼できる人の同席、実施しない判断も含める

国際結婚などでは必要書類が状況によって変わります。顔合わせの日程とは切り分け、婚姻届を提出する市区町村へ早めに確認してください。通常と異なる事情があるときは、一般的な準備記事だけで必要書類を断定しないことが大切です。

日程は「先に入籍日を決めるか」で組み立てる

顔合わせの日を決める前に、入籍日を両家と相談したいのか、ふたりで決めて報告するのかを確認します。ここが曖昧だと、親は相談を受けるつもり、ふたりは決定事項を伝えるつもりという食い違いが起きます。

入籍日の決め方 顔合わせの位置づけ 予約前にすること
顔合わせで相談して決める 両家の希望を聞く機会 候補日を2~3案用意し、決定権をどう考えるかふたりでそろえる
ふたりで決めて報告する 決定した予定を共有する機会 理由、提出先、結婚式や新居との関係を説明できるようにする
入籍後に顔合わせする 両家の紹介と今後の親睦の機会 入籍した事実を先に伝え、当日に驚かせない

全国共通の「入籍の何か月前」という期限はありません。予約の取りやすさ、移動時間、体調、繁忙期を見ながら決めます。入籍前に実施したいなら、親への挨拶が終わった時点で双方から候補日を集め、日程が合わなければ待つ期限をふたりで決めておくと迷い続けません。

親へは決定事項と相談事項を分けて伝える

順番でもめる原因の一つは、「相談」と「報告」が同じ言い方になっていることです。入籍日はふたりで決めたのか、親の都合も聞きたいのかを明確にします。各自が自分の親へ先に説明し、相手だけを矢面に立たせないことも大切です。

顔合わせを先にしたいと伝える例

入籍は秋ごろを考えています。その前に、まず両家で一度会って、お互いを紹介できる時間を作りたいです。○月と○月ならどの日が都合よいか教えてもらえますか。

入籍を先にしたいと伝える例

両家で会ってから入籍したいと思っていましたが、全員の日程が合うのが○月になりそうです。私たちは手続きの都合で○月○日の入籍を希望しています。先にオンラインでご挨拶の時間を取り、対面の顔合わせは○月に開きたいのですが、どう思うか聞かせてください。

「普通はこうだから」だけで押し切らず、希望日を優先したい理由と、家族を軽視しているわけではないことをセットで伝えます。親から強い反対が出た場合は、その日のうちに説得し切ろうとせず、何に不安を感じているのかを分けて聞きましょう。

顔合わせで共有する内容

顔合わせでは、結婚に関するすべてをその場で決定する必要はありません。両家へ関係することと、ふたりで決めることを分け、まだ決まっていない事項は「いつまでに伝えるか」だけ共有します。

  • 入籍予定日と、婚姻届の証人を誰にお願いするか
  • 結婚式・写真撮影・家族会食を行うか、検討中か
  • 新居の地域、引っ越しのおおよその時期
  • 両家同士の連絡方法と、冠婚葬祭で配慮したいこと
  • 結納・婚約記念品・費用援助について希望があるか

収入、妊娠、持病、家族関係など、本人の同意なく詳細を話すべきでない情報もあります。顔合わせ前に、どこまで共有するかをふたりで確認してください。片方が知られたくない情報を「家族になるのだから」とその場で明かすのは避けます。

すでに入籍した後の顔合わせ

入籍後でも顔合わせを開く意味はあります。両家が互いを知り、今後の付き合い方を確認する目的は変わりません。ただし、親が顔合わせ前の入籍を知らない場合は、会食当日に発表するのではなく、各自が自分の親へ先に伝えます。

入籍後に説明する例

きちんと相談する前に入籍を進め、驚かせてしまってごめんなさい。○○という事情があり、ふたりで○月○日に婚姻届を提出しました。これから両家を紹介し、今後のことを一緒に話せる機会を作りたいと思っています。

説明不足があったなら、その点は率直に謝ります。一方で、顔合わせを形式的な「事後承認」の場に見せないことも大切です。当日は経緯の説明だけで終わらせず、家族紹介、食事、写真など、これからの関係を作る時間へ切り替えましょう。

顔合わせをしない・別々に会う選択もある

家族との疎遠、DVや虐待、依存、信仰、病気、介護などの事情により、両家を同席させることが安全・適切とは限りません。結婚準備の慣習より、ふたりと関係者の安全を優先してください。連絡先や居住地を伝えない、信頼できる第三者に同席してもらう、別々の日に会う、顔合わせを行わないという選択もあります。

危険や強い支配がある場合は、ふたりだけで調整し続けず、自治体の相談窓口や法テラスなどへ相談する方法があります。相手の親との関係を良くすることと、危険な接触を我慢することは同じではありません。

顔合わせと入籍の順番でよくある質問

顔合わせより先に入籍しても法的に問題ありませんか?

顔合わせは婚姻届の法的要件ではありません。必要な要件を満たす婚姻届が受理されれば婚姻は成立します。ただし、必要書類は当事者の国籍や事情で変わるため、提出先の市区町村へ確認してください。

顔合わせは入籍の何か月前がよいですか?

全国共通の期限はありません。顔合わせで入籍日を相談するなら決定前、報告だけなら希望日に間に合う範囲で設定します。日程が合わない場合はオンラインで先に紹介し、対面会食を後日にしても構いません。

片方の親だけが順番を強く気にしています

各自が自分の親へ、相手側の事情とふたりの希望を説明します。どちらか一方の親の「普通」を両家共通の決まりにせず、反対の理由が礼儀、日程、結納、将来不安のどれなのかを確認してください。

入籍後の顔合わせでも手土産は必要ですか?

入籍前後だけで手土産の要否は決まりません。両家で有無とおおよその価格帯をそろえ、片方だけが高価な品を用意する状況を避けます。

参考にした公的情報・関連情報